薬屋のひとりごと、話が進むごとに、この魅力に引き込まれていくのは、いつもサスペンスのような謎解きがあるからか、壬氏様と猫猫のやり取りが面白いからか・・
いずれにしてもあっという間に私たちを引き込んでくれる「薬屋のひとりごと」
その魅力の一つが、壬氏さまと猫猫の恋愛を応援する気持ちではないでしょうか。
ただ好きな感情に左右されがちな壬氏と、冷静に周りを判断しながら、だんだん心を開く猫猫の二人の距離感が、見てるものを楽しませる一つでもあります。
誰もが憧れる美しい顔と声を持つ壬氏だったが、唯一自分に関心を持たず、自分の世界を持った猫猫に、どんどんひかれていきます。
何よりも猫猫だけが、容姿ではなく自分の人間性を見てくれることに気づいていたからです。

最初は完全に片思いでしたが、共にいろいろな事件を解決したり身近で世話をしたりするうちに、それぞれの相手への愛情の形が変化していきます。
壬氏は実際に複数回にわたって猫猫にプロポーズの意を示しており、実は皇帝になる可能性のある身分だけに自由に恋愛できない障害と向き合い戦っていく壬氏さまを、みな応援したくなるのです。
二人の愛の成長のドラマでもあります。
順を追ってみてみましょう。
薬屋のひとりごと 壬氏の猫猫への5回のプロポーズ詳細
第1回目のプロポーズ(小説5巻)
場面・背景:

- 皇弟の嫁選び会合の宴での出来事
- 壬氏が猫猫を宴に招き、月と芥子の花を象った銀簪を贈る(月は自分の本当の名前の象徴、かんざしを渡すのはプロポーズだと、その意味を猫猫はまだ知らない)
- 夜空の下で二人きりの時間を過ごす

壬氏の行動と考え:
- 自分の名前「月」を含む簪を贈る(当時の身分制度では明確な求婚の意図)
- 猫猫にキスをする
- 猫猫に選択の余地を残しつつ、自分の気持ちを伝えようとした(つまり壬氏は実は皇帝の弟で、皇帝の次の位の皇族で、その立場でプロポーズしたら、どんな女性も断ることは許されない為、猫猫の気持ちを優先するために、はっきりは伝えられない)
猫猫はかんざしを贈る意味も知らなかったし、壬氏の身分も知らず、プロポーズしたら強制になる関係であることも知らない。
そのため壬氏の伝えたい気持ちが伝わっていなかった。
第2回目のプロポーズ(小説6巻での返事を求める場面)
場面・背景:
- 壬氏が「例の話、受ける気になったか?」と返事を求める
猫猫の反応と理由:

- 「私は敵になりたくありません。玉葉后の敵に」と答えて婉曲に断る(玉葉后は将来皇帝の子を産む、もし壬氏と結婚したら、その子は玉葉后の子と皇位をめぐり争いになる可能性があり、政治的争いに関わりたくない)
- 壬氏への好意は抱いているが、政治的な立場を懸念
- 将来的に皇位継承争いに巻き込まれることを恐れた
第3回目のプロポーズ(小説7巻18話「男女の駆け引き」)
場面・背景:

- 壬氏が水蓮(乳母であり、祖母)に「早く妃を娶れ」と言われたことを猫猫に告げる
- 壬氏は仕事が忙しく、超寝不足の状態で感情的になっていた
- 猫猫は、はっきり愛情を伝えると、強制になるから、なかなかはっきりとした気持ちを伝えずにいた。そのため猫猫も何が言いたいかわからず、壬氏の曖昧な態度に感情をぶつける
プロポーズシーンの詳細:
猫猫が壬氏を叱責する中で:

いつも、私に対して、『読み取れ』としか言えないような言動ばかりしているじゃないですか?はあ?読み取れ?雰囲気で感じろ?(略)好いた女にまっすぐに伝えられない。(略)最初からまっすぐ相手に伝えればよかったんです。はっきりきっぱり、相手を不安にさせないくらいしっかり言えばいいんですよ
これを受けて壬氏は:

「聞いたぞ、本当だな!絶対だ!今から言うからな。ちゃんと耳を抑えず聞いておけ!」
と猫猫の両手を掴み、照れくさそうに見ながら:
「おま、いや、猫猫!よく聞いておけ!俺は、おまえを妻にする」
壬氏の心境:
- 売り言葉に買い言葉の状況だったが、本心からの発言
- 疲れと感情の高ぶりが相まって、つい口にした覚悟の言葉
- 単なる感情的な発言ではなく、真剣な決意表明
- 猫猫の懸念を理解しつつも、諦めるつもりは全くなかった
プロポーズ後の壬氏の考え:
- 「必ず納得するだけの状況にしてやる、覚悟していろ」壬氏が絶対皇帝にならない状況を作ると約束
- 「おまえの恐れているような状況には絶対にしない」 皇后になって政治的に重責を担い、好きな薬の仕事もできなくなるのを避けたいのが解っていたから。
- 猫猫の不安を払拭するために具体的な行動を取る決意を固める
その後の展開(小説8巻以降)
壬氏の具体的行動:
- 皇族を辞めて臣下に入ることを提案 兄の皇帝に自分は皇帝にはならないと言って、皇后は今妊娠してる玉葉妃だから、今から自分は玉葉妃の奴隷になると言って、おなかに玉葉妃の奴隷につける焼き印を押して、自分の体に奴隷のマークをつけてしまう。もう奴隷の焼き印を付けたので、皇帝は告げないと強引に皇帝に認めさせた。
- 猫猫の「玉葉后の敵になりたくない」という懸念に対する根本的解決策を実行(壬氏ともし結婚して子供ができたら時期皇帝候補になり、玉葉妃の子供と権力争いになることを避けたかった)
背景にある壬氏の心境の変化:
- 5巻時点:恋愛感情を行動で示すが、相手に配慮して選択肢を残す
- 7巻時点:感情に押し切られつつも、本格的な覚悟を決める
- 8巻以降:言葉だけでなく、政治的・社会的なリスクを負ってでも猫猫との未来を実現しようとする
壬氏の気持ちは、成長していく。
壬氏と猫猫が夜伽未遂に!
13巻西都からの帰りに、2人は両想いになる。
帰ってから、普通の話がしたくて猫猫を壬氏は家に呼ぶが、高官男子に両想いの女が呼ばれたら、それは夜伽をするという暗黙のルールがあった。
そのため壬氏はそこまでのつもりがなかったが、世話係のスイレンが、夜伽の準備を整えてしまって、壬氏は驚く。
猫猫は、そのつもりでしっかり準備もしてきた。
準備には万が一に備え、堕胎剤になるおしろい花などを持ってきていた。
万が一、皇帝になる可能性のある皇族の子供を身ごもったら、いろいろな権力争いに巻き込まれるリスクを考え、また皇后になる気はなく、自由でいたい猫猫は、子供を産むことは考えられなかった。
唯一生んでみたかったのは、胎盤を食べたかったからで、現実的には、妊娠はできない状況だった。
その準備を見て壬氏は改めて皇族の身分を捨てることを考えるようになった。
この日は夜伽未遂で、猫猫は返された。
壬氏の猫猫へのプロポーズと、気持ちの成長まとめ

壬氏のプロポーズは単なる恋愛感情の表現ではなく、政治的立場や社会的制約を乗り越えてでも猫猫と共にいたいという強い意志の表れとなっており、回を重ねるごとにその覚悟が深まっていく様子が描かれています。
花街で育った子が、たまたまさらわれ後宮で侍女にされたはずだったが、実は父親が、身分の高い武官だったことが後からわかった。
身分の高い家の娘であることは、貴族で皇帝の後を告げる壬氏とは実は身分も申し分なく釣り合うことが解った。
逆にそうなると、皇帝と高級武官の娘の結婚で、政治的に大きな問題に巻き込まれる可能性が出る為、壬氏の見守り役のガオシュンは、このままではまずいと心配をする。
身分が合うからこそ、猫猫は皇后にふさわしい立場であり、玉葉后と対立も避けられなくなる。
身分が高くなることに興味のない、自由で薬の研究をしていたい猫猫には、ますます壬氏が将来皇帝になるとそばい入れなくなる。
壬氏に、「皇帝にならないでくださいね」と伝える。

「皇帝にならないでくださいね」
この言葉はついに猫猫も、壬氏の愛を受け入れる覚悟ができてきたという事だ。
壬氏も、その気持ちに答えたく、貴族の地位を捨てるために試行錯誤する。
ただ好きで愛してる感情から、猫猫の幸せを優先する愛へと変わっていくのだ。
アニメでは、小説の4分の1ぐらいまでしか進んでいないので、今後の二人の関係性を楽しみにしているアニメ派達には、これからの二人の進展はとても楽しみなものになっている。
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